人はこの世の去ったときにその真価が分かるという。
先日、”阿久悠を偲ぶ”TV番組が放映されており、そのまま見入ってしまった。
私は決して、懐メロ好きでも、カラオケ好きでもないが、稀代の作詞家 阿久悠氏が作詞した歌を聞き、自分の人生と重ね合わせてしまった。
当年50歳を迎えた私の世代はテレビ世代といっていいだろう。
そのテレビ世代は歌謡番組全盛時代でもあり、この時代に阿久悠氏の存在を抜きに語れないほど数々のヒット曲を残していったことを確認できた。
<阿久悠氏作詞の主な代表曲>
♪また逢う日まで  ♪ 尾崎紀世彦
♪北の宿から    ♪ 都はるみ
♪せんせい     ♪ 森昌子
♪どうにも止まらない♪ 山本リンダ
♪勝手にしやがれ  ♪ 沢田研二
♪ペッパー警部   ♪ ピンクレディ
♪津軽海峡冬景色  ♪ 石川さゆり
♪舟歌       ♪ 八代亜紀
♪もしもピアノが弾けたなら♪ 西田敏行
♪津軽海峡冬景色  ♪ 石川さゆり
などなど
“阿久悠”の由来は”悪友”からとったそうだ。
家族を人に語らず弟子を取らず、歌手と交わらず。
そして、自分の作詞した歌を歌うことは一切なかった、口ずさむことを聞いた人さえいない。
周りに振り回されることなく自分の美学を貫いた人であったそうな。
また、いっせいを風靡した多くの作詞は、華やかな六本木の彼のオフィスのディスクの上ではなく、自宅の布団の上で、腹ばいになって新聞チラシの裏での下書きから生まれたとのことである。
美学を貫く人が、生々しい生活の中から、後世に残る歌謡という文化資産が作り、それがこれからも残されていく。
「後世に残る資産をつくりあげる。そういうことをできる生き方ができたらいいな」
そういうことを感じた阿久悠氏のご逝去でした。
ご冥福をお祈りします。